フランスアンティーク マイクロモザイク ヴェルメイユ 鳩と花々 ブローチ
アンティーク、フランス製のマイクロモザイクのブローチです。
縦約2.9cm×横縦2.5cm、草花の優美なフレームにおさまるマイクロモザイク。鮮やかなターコイズブルーの背景に、中央には平和の象徴の白い鳩(colomba)が描かれています。その周りに白と紫の小花。色数を抑えた上品なデザインです。
旧約聖書で、大洪水の後、ノアが陸地を探すため飛ばした白い鳩。無事陸地を見つけてオリーブの枝をくわえて戻ってきたことから、白い鳩のモチーフは平和や希望の象徴として愛されてきました。
細かな擦れ欠けは有りますが、テッセラ(色ガラス片)の抜けもなく、大変状態のよいマイクロモザイク。マイクロモザイクといえば、イタリアを思い浮かべますが、こちらはCクラスプに猪のマーク(パリ、800シルバー)が確認出来、ゴールドが薄っすらとしておりますが、ヴェルメイユとなります。
このブローチの最大の魅力は背面にあります。「ETHEL SEPTEMBER 22 ND 1892」。名前の「ETHEL」部分は古典的なカリグラフィーのような飾り文字になっており、「SEPTEMBER(9月)」「22日」、「ND」は、「natal day(誕生日)」ではないかと思われます。
17世紀初頭~19世紀初頭まで、イギリスの貴族の子弟らが見聞を広めるために、イタリアやフランスなどを旅したといわれるグランド・ツアー。「1892年」といえば少し後の時代になりますが、フランスは「優雅さ」や「洗練されたマナー」等を身に着けるには、よい旅先だったと思われます。
おそらく、旅の途中で出合った美しいマイクロモザイクに、愛する人の誕生日を刻印し、贈り物として持ち帰ったものなのではないでしょうか。「1892年」をどう捉えるか、様々な解釈が生まれそうですが、私は「1892年の、誕生日の贈り物」ではないかと思います。
針にやや緩みは有りますが、Cクラスプに気持ちよく納まります(出し入れする時、やや硬めです)。シルバーの台に経年による黒ずみ、擦れ等みられます。全体的にアンティークの風合いとして美しいです。
■マイクロモザイクとは
テッセラと呼ばれる細かなガラス片を、ピンセットで一つひとつ敷き詰めてつくられています。
フランスのエレガントな枠におさまる美しいマイクロモザイク。小さなブローチに、ぎゅっと物語が詰まっています。ワンポイントにお勧めです。
ブローチのみ。ボックスや小道具は含まれません。
遥か昔に、職人によってつくられたジュエリーです。
経年によるくすみや変色も味わいと感じられる方に。
当方で、風合いを損なわない程度にメンテナンスをしております。
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■年代:1892年
■素材:テッセラ(色ガラス片)
ヴェルメイユ
シルバー800
■サイズ:約縦2.9cm×横2.5cm
■重量:5.5g
【刻印】
■ETHEL
■SEPTEMBER 22 ND
■1892
■Cクラスプ部:猪(パリ シルバー800)
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ヴェルメイユ(シルバーギルド)とは
フランス語のヴェルメイユ(vermeil)。
アンティークでよく使われていた技法の一つ。
銀無垢に金を張り付けたもの。
銀の酸化を避ける実用的な性質もありました。
長い年月の中で金が薄れ、銀のような色になっていたり、金が強く残っているものも有ります。