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  • 2020/11/02 21:38


    ブローチを集め始めたのはいつからだっただろう。蝶、ピエロ、色ガラス、ヴィンテージやアンティーク。缶バッチにピン。
    気がつけば、何かしら小さなブローチを手に取っていました。

    思い起こせば、小学生の頃、大好きだった『赤毛のアン』の、マリラが大切にしていた、母から譲り受けたアメシストのブローチを知ってからだったのかもしれません。子ども心にとても素敵なものなんだろうと夢想し憧れていました。

    今、『赤毛のアン』を松本侑子さんの訳で読み直しています。グリーン・ゲイブルズの自然描写とか、アンの空想話とか、モンゴメリの原作に忠実に訳しているとのことで、本当に素晴らしいです。読み進むのがもったいなくて、日に数行、栞を挟みながら楽しみに味わっています。

    それから、ビジュアルでは、NHKの「アンという名の少女」。これも毎週楽しみでした。リンド夫人やマリラが身に着けるブローチに注目して。

    リンド夫人は毎回、比較的小ぶりなブローチを襟元の真ん中に着けているのですが、フォルムはシンプルで上品、細工が細かくとても素敵でした。

    マリラのブローチはやはり、母の形見のブローチ。船乗りだったマリラのおじが、マリラの母に贈ったもので、母の形見としてマリラが譲り受けたものでした。形は「古風な卵型、中には母親の髪の毛がひと房入っていて、その周りを小さなアメシストがとり巻いていた」のだそう。

    そのアメシストのブローチに魅了されたアンはのちに騒動を引き起こすのですが、アンの言葉にとても共感するのでした。「紫水晶(アメシスト)って、優しいすみれの花の塊のようね」。

    松本さんの訳の素晴らしさは、「訳者によるノート」ー『赤毛のアン』の謎解きーにもあると思います。漠然と素敵だと思っていたマリラのアメシストのブローチは、「喪のブローチ(モーニングジュエリー)」でもあったこと。

    写真のない時代、家族の毛髪を縫い込んだり、編んで形見にする習わしがあったのだそう。それを知れば、マリラがアメシストのブローチで、取り乱す気持ちも理解できますね。

    アメシストは様々な色合いがあり、奥深く魅力的な石です。11月中旬以降に少しまとめて入荷予定です。