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2020/11/03 20:37
ツバメのモチーフが好きです。今まで色々見て来ましたが、似た感じのブローチはあっても、全く同一のものを見た事が有りません。翼がしゅっとしていたり、頭がぽってり丸く可愛らしかったり、今にも飛んでいきそうな飛翔タイプのフォルムから、ちょっと休憩しているような佇まいだったり。100年以上前の職人さんそれぞれが思い描く「ツバメ」の形が今に伝わっているんですね。コレクションするにはとても興味深いアイテムです。
ヨーロッパではツバメは幸福をもたらしてくれる鳥として人気だそうです。日本もそうですよね。家の軒先に巣をつくったら、その家は繁栄するとか。祖母の家では玄関先をツバメに汚されても、巣立つまで大事に見守っていました。
ツバメ好きのもう一つの理由。子どもの頃から、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』が大好きでした。読む年代によって少しずつ、見え方が変わるお話です。ある評論の中には、「オスカー・ワイルドが皮肉を込めた」というものもありましたが、私はそんな風に思えません。
心優しい王子が高台から見下ろす街は、人々の生き辛さで溢れています。貧しい人、困っている人に身を削って、自由に飛ぶことができるツバメに宝石や金を届けさせるのでした。とうとう仕舞には宝石を外された王子の目は見えなくなり、王子の願いを叶えるために南へ行けなくなってしまったツバメは死んでしまいます。
お話はここで終わりません。王子とツバメの魂は天国へ召されていきます。その光景がとても美しく、まさに「幸福」なんですね。真面目過ぎたり、正直過ぎたり。生きて行くには辛いことも多いですが、「美しく生きること」について考えさせられるお話です。人にどう思われようと、ツバメや王子は自分自身が「やるべきこと」を貫きました。その潔さに憧れて、私はツバメを集めています。