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2025/07/04 17:53

アンティークジュエリー・日本人の指輪(リング)サイズについて


アンティークジュエリーの指輪(リング)を選ぶ際に、気になるのが「サイズ」の問題です。現代ジュエリーと異なり、アンティークリングは一点物であることが多く、サイズ直しにも制約があります。特に日本人の指に合うサイズかどうかは、購入前にしっかり確認しておきたいポイントです。

この記事では、アンティークジュエリーを検討する際に知っておきたい日本の指輪サイズの基礎知識や、英国サイズとの比較、サイズ選びの注意点などをわかりやすく解説します。

日本の指輪(リング)サイズとは?
日本で一般的に用いられている指輪のサイズは「号(ごう)」で表されます。これは日本独自の単位で、1号=内周40.8mmからスタートし、1号ごとに約1mmずつ内周が大きくなっていく仕様です(:記事一番下に記載)。

一般的な日本人女性の薬指サイズは、7号~11号程度が多く、平均はおよそ9号前後といわれています。ただし、骨格や体型によっても異なるため、可能であれば正確な計測が理想です。

海外のリングサイズとの比較

当店のアンティークジュエリーは、主にイギリスやフランスなどヨーロッパ圏が多く、サイズ表記も異なります。日本の号数と異なり、表(UKサイズ)のような表記が使われます:記事一番下に記載)

サイズ直しが難しいアンティークリング

アンティークジュエリーは、現代のジュエリーとは異なる技法や素材で製作されているため、サイズ直しが難しい場合があります。特に以下のようなケースでは注意が必要です。

・シャンク(リング腕部分)に装飾が施されている場合
・エタニティリング(全周に宝石が留められている)場合
・フィリグリー細工や彫金が入っている場合
・回転軸などギミックがある場合
・古い金属で、ロー付け(溶接)に弱い構造の場合

このようなデザインや構造の指輪はサイズ変更が難しいといえるでしょう。

サイズ確認のためにできること

アンティークリングの購入前に、自分の指のサイズを正確に知っておくことは重要です。特にオンラインで購入する場合は、以下の方法で確認することが推奨されます。

1. ジュエリーショップで計測してもらう
最も確実な方法です。測定器を使用して正確な号数を知ることができます。

2. 自宅でリングゲージを使用する
ネット通販でも購入できるリングゲージを使えば、複数の指のサイズを把握できます。

3. 手持ちのリングを測る
既に自分に合っているリングがある場合は、その内径を測定し、対応する号数を調べることも可能です。

季節や時間帯によるサイズの変動にも注意

指のサイズは、気温や湿度、時間帯によって変化します。特に夏はむくみやすく、冬は縮みやすい傾向があります。リングを測るタイミングとしては、『日中の安定した時間帯(午後)』に行うのが理想です。

アンティークジュエリーのサイズ選びで後悔しないために

アンティークリングは、時代を超えて受け継がれてきた唯一無二の存在です。その美しさと歴史的価値は計り知れません。

「着用する指に合っているか」・・・着けたい指のサイズと合うでしょうか。
「今後の体型変化を考慮するか」・・・体型が変わるたびにリングサイズをなおしていたら、リングに負荷がかかってしまいますね。

こうした点を総合的に判断し、長く愛用できるアンティークリングを選びましょう。

絵画に「まねぶ」

16~17世紀頃に描かれた肖像画の手元に注目すると、薬指のみならず、親指から小指に至るまで、様々な指に装着されたリングを見る事ができます。

1. 親指(サム・リング)
2. 人差し指(インデックス・リング)
3. 中指(ミドル・リング)
4. 薬指(エンゲージ(マリッジ)・リング)
5. 小指(ピンキー・リング)

1のサム・リングは中世以降、男性の間で流行しました。弓矢を引く時のアーチャーズ・リングをサム・リングと呼ぶ場合もあります。貴婦人の肖像画でも親指のリング装着を確認出来ます。個性を感じる着け方です。
2のインデックス・リング、特に右手の人差し指は「権威を象徴する特別な指」とされており、聖職者や時の権力者が身に着けたとされています。マウスをクリックする時にもよく見る指であり、リング全体のデザインを楽しむ事ができます。
3のミドル・リング、中指は直感とインスピレーションを司る指とされています。丁度真ん中の指、着けると安定感がありますね。
4のエンゲージ・リング、古代ローマ等で左手の薬指は、心臓に繋がる特別な指と信じられており、ブライダルリングのルーツになったといわれています。
5のピンキー・リング、男女問わず、古くから好まれて着けられた小指。小指はチャンスを司る指といわれています。

1:中指以外全ての指にはめられたリング。デザインも様々。
ルーカス・クラーナハ/1502年/ヨハネス・クスピニアン博士とアン夫人の肖像/オスカー・ラインハルト・コレクション蔵

2:親指と人差し指のリング。ゴールドに色石、似た感じのデザインで統一感があります。
ルーカス・クラーナハ/1515年/ある婦人の肖像/ナショナル・トラスト蔵

3:豪華な縁取りが目をひくリングたち。こちらも中指を外して全ての指に着けられています。
アロンソ・サンチェス・コエリョ/1570年頃/アナ・デ・アウストリア/グラスゴー大学ハンタリアン美術館蔵

4:白くほっそりとした人差し指に映えるゴールドに色石のリング。シンメトリーの豪華なジュエリーとのバランスがエレガント。
フランソワ・クルーエ/1571年頃/フランス王妃エリザベート・ドートリッシュ/ルーヴル美術館蔵


以上のように、古くからそれぞれの指に着けられてきたリング。
アンティークリングはどの指に着けても素敵です。
いつもとは違う指でも、着けて楽しんでみてはいかがでしょう。

また、市販品でも、サイズを調整してくれる付属品等も販売されています。

まとめ

アンティークジュエリー、リングを楽しむ上で、日本人の指に合うサイズの見極めは重要なポイントです。日本サイズとUKサイズの対応表を参考にしつつ、正確なサイズ確認を行いましょう。特にアンティークリングはサイズ調整に制約があるため、事前の知識と確認が、満足のいくお買い物につながります。
しかしながら、サイズは生涯において不変的なものではないので、気に入ったリングであれば、サイズの合いそうな様々な指で試してみるというのも、アンティークリングの楽しみのひとつなのではないでしょうか。
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