BLOG

2026/03/29 17:26

先日、松本の町へ出掛けて来ました。自宅から車で15分ほどの所に、松本観光で知られた蔵の町「中町」が有ります。近くを流れる女鳥羽(めとば)川にも桜の花が咲き始め、学生や家族連れで賑わっていました。

卒業、入学…、会社勤めを始める方、地元を離れ遠方へ引っ越しされる方など、この春は「節目」の季節でもあります。トランク・サロンの会場の隣の部屋は、花嫁さんの控えの間として予約が入っていました。新生活を始めるにも春は良い季節ですね。

当店では「節目」の贈り物として、アンティークジュエリーを選ばれるお客様が増えています。包装紙を選びリボンをかけて送り出す時、「この仕事を続けてきて良かった」としみじみ思います。100年以上の時を経てなお輝きを失わないアンティークジュエリーは、受け取った方の「お守り」になると信じています。

遥か長い年月、様々な物語を見て来たアンティークジュエリー。身に着けさらに長い年月を共に歩むことは、温かな物語を繋いでゆく素敵なことだと思います。
当店にあるアンティークジュエリーの中で、「受け継がれた」ことが解るブローチが有ります。アメシストと真珠のレースピン2点です。
一つはオーソドックスなオーバルのレースピンに、9金の幅広の枠を取り付けたもの。新旧の9金枠の色の違いに、時間の流れを感じます。一つの物語として、母から娘へ受け継がれる時、古いデザインを生かして、自分に似合うジュエリーに仕立て直したのかもしれません。美しい枠は、当時の職人さんが依頼主の意向を聞き、手作業で丁寧に取り付けたものでしょう。その時々「大切にされてきた」思いが、このレースピンには込められています。
もう一つは、名誉ある長い名前と共に贈ったと思われる、濃い紫色のアメシストが華やかなレースピン。15金の肉厚なゴールドに、日付と名前が、丁寧に美しく彫金されています。家の歴史と誇りを次の世代へ繋ぎたいという、一つの物語が浮かんできます。寸分の狂いなく深く刻まれた文字。当時の職人さんの腕の確かさ、仕事の細やかさに感銘を受けます。歴史と品格を纏った美しいレースピンです。

アンティークジュエリーを身に着ける時、「美しさ」とともに「温かさ」を感じるのは、人と人との繋がりの中に、身を置いている感覚が有るからかもしれません。

見知らぬ誰かが大切に受け継いで来たジュエリー。さらに未来へと繋いでゆくための橋渡しが出来ることは、とても光栄だと改めて感じています。

【参考ジュエリー】